
亡母が加入していたがん保険の給付金を死亡後に相続人が受け取った場合、相続においてどのように扱われるのか教えてください。
先月がんで亡くなった母の書類を整理したところ、がんと診断されたときや、がんの治療で入院した際の“給付金”と、死亡保険金が受け取れる保険(以下、がん保険)に加入していたことがわかりました。保険会社に連絡をいれたところ、契約は有効に続いており、生前は何も手続きをしていなかったようで、給付金の請求手続きをするように言われました。
父は既に亡くなっており、このたびの相続人は私(長女)と妹の合計2人です。私が手続きを行いますが、受け取る給付金は相続においてどのように扱われるのでしょうか?
- 保険種類:がん保険
- 契約者:母
- 被保険者:母
- 給付金受取人:被保険者(母)
- 死亡保険金受取人:私(相談者)
ご相談のケースのように、被保険者の生前に請求手続きが行われず、死亡後に請求をする場合、給付金受取人が誰になっているかにより税金の扱いが異なります。具体的な取扱いについては、詳細解説をご参照ください。
がん保険を含む医療保障の給付金は、被保険者が亡くなった後も保険契約が有効で、所定の要件を満たしていれば請求することができます。被保険者の容態や事情により生前に請求手続きを行えず、死亡後に請求するケースは少なくありません。この場合、誰が給付金受取人になっているかによって税金の扱いが異なります。
なお、同時に請求する死亡保険金は他の生命保険金と同様に、民法上は受取人固有の財産になりますが、相続税の計算上はみなし相続財産として課税対象となります。
本来、被保険者(被相続人)が受け取るものであるため、死亡後に受け取る給付金は相続財産として、相続税の課税対象となります。この場合、相続手続き上は相続人の誰が受け取ったとしても相続人共有の財産であり、未収金として遺産分割協議の対象になります。
配偶者や子など被保険者以外が受取人に指定されている場合、被保険者が生前か死亡後かに関係なく指定された受取人の財産となります。死亡後に給付金を受け取っても受取人の財産であるため、相続税の課税対象にはなりません。
また、この場合、保険契約に基づいて病気やケガによる身体の傷害に基因して支払いを受けるものは、所得税法上、非課税とされています。
したがって、相続税、所得税ともに課税されません。
ご相談のケースにおける給付金受取人は、上記1.(1)に該当します。死亡保険金の受取人であるご相談者が給付金と死亡保険金の請求手続きを行うため、保険会社からまとめて支払われるものと想定されます。
給付金と死亡保険金は相続税の課税対象となる点では同じですが、給付金は相続人共有の財産として遺産分割協議の対象になる点で、死亡保険金とは異なります。支払明細等によって整理する必要がありますので、ご留意ください。
保険に係る税金の取扱いや相続手続き、遺産分割に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
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